職場=人生の多くを過ごす場所そしてさまざまな人間関係を築く場所に
人格や尊厳を傷つける「ハラスメント」は必要ありません
パワハラ防止法が成立、セクハラ、マタハラ等とあわせて企業の対策が求められています。あなたの企業は大丈夫ですか?

半数以上の企業が、すでにパワハラ対策を実施している?
厚生労働省が2016年度に行ったパワハラ実態調査によると、「過去3年間にパワーハラスメントを受けた」と回答した従業員は32.5%に達しています。前回調査(2012年度)25.3%より約7ポイント増加しています。
一方、同報告書では、半数以上の企業がパワハラの予防対策を「実施している」と答えているそう。「パワハラに対する関心が高まった」と回答する企業は42.5%、「パワハラについて相談しやすくなった」は40.9%とそれぞれ50%に迫る割合に達しています。このような企業社会環境の中、厚労省は2018年11月19日、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の分科会で、職場のパワハラ防止措置を法律で企業に義務付ける方針を示し、その法律が2019年5月成立しました。
ハラスメント防止策の必要性とは? 法制化→労働施策総合推進法
3つの視点からのリスクは、会社のネガティブ要素として避けなければいけない課題です。
人権尊重
意欲・自信の喪失
心身の健康への影響
職場環境
モチベーションの低下
行為者の信用・評価の低下
会社の問題
人的損失
法的リスク
社会的信用低下
雇用管理上の措置義務として、とくに中小企業の場合、トップダウンが必要不可欠になります
幅広い法的責任の可能性が考えられます。早めの対策が強く求められます。
法的責任1
加害者(行為者)の責任
民事・刑事・名誉棄損 等
法的責任2
使用者責任(民法715条)
債務不履行責任(民法415条)
不行為責任(民法709条)
法的責任3
権利の濫用の禁止(労働契約法3条5項)
減給処分等(労働基準法91条)
法整備に対応するために、企業が求められるパワハラ防止対策とは?
(企業トップまたは事業所の責任者には)企業のトップまたは管理者がパワハラをなくすことを決意し、その想いをメッセージとして発信する。
(ルールを整える/相談窓口を設ける)就業規則などにパワハラを禁止する旨の条項を加え、パワハラに関するルールを明確に規定する。加害者に対しては解雇までを含めた処罰を行う場合があることを規定し、企業としての厳しい姿勢を見せる。また相談窓口(相談担当者)を設け、初期対応が可能なようにする。
(社内/事業所内に周知徹底する)まずパワハラ禁止ルールを新たに策定したことを社内に周知徹底する。周知は、継続的・計画的に行うことが重要。
(管理者は必須/研修・教育)パワハラに関する理解を深めるため研修を行う。管理監督者には必須だが、一般従業員にも実施すると効果的。マニュアルやガイドラインを作成することも大事。
(第三者からの評価を受け、表示/発表する)当NPO法人が行っているノーハラスメント事業所認定などを受け、ハラスメント対策に積極的な企業であることをPRする。
パワハラ、セクハラ、マタハラ等は従業員の被害だけでなく、企業のイメージ低下にもつながります。
万が一、パワハラ等が問題になった時、それまでに行ってきたパワハラ対策の有無が問われることになります。
まず、早急にカタチを整えておくことが大切です。
さらに、パワハラ対策を積極的に実施していることを社外にもPRして、イメージの向上、人材確保につなげましょう。