事例1 紹介入社直後のパワハラ

相談事例:①
 Aさん <30代 女性>
 4大卒業後は派遣により事務職を経験。半年前に離婚、シングルマザーとなり正社員を希望
 知人B氏の紹介にて入社。総務に配属され試用期間も終えようとしているころから、
 勤務中に課の職員の前で直属上司(C課長)に「君はB氏の紹介だね。どういう関係?」
 「なんで離婚したの?」などの質問を受ける。
 曖昧に受け答えをしながらも不快に思い、部長に相談する。

部長は「注意しておく」との返答で、その2日後から、課長は朝の挨拶をしても無視、
仕事を他の職員に回し職務を与えられなかった。5日間続いたので人事部の相談窓口に相談した。
3日後に相談窓口の担当者から連絡を受けた。
(相談当日から休職)
C課長に確認したところ、
「仕事を与えないのは事務能力に問題があり、勤務態度も不良なので様子を見ていた。」
「また、個人的なことに立ち入った質問はしていない。」
部長は「Aさんから相談を受けたが、B課長は部下の面倒見の良い人物なのでAさんが新しい環境に早く慣れるように配慮した結果ではないかと思う」との報告を受けた。
納得がいかない旨を伝えたが、担当者から音声の証拠もないので証明は困難であり、
これ以上の調査は行えないと、一方的に調査の終了を告げられ、Aさんから今後の勤務内容の検討を申し出れば、C課長は応じる準備を整えて待っているということで、出社を強く勧められた。

総務課の職員に証言を依頼してはと提案したが、「誰も証言を引き受けないだろう」と言われ、翌日までに返事を求められた。
何となく退職勧奨を受けたような気がしている。
思い過ごしでしょうか?

そこで《ハラハラ》☑ポイント
ハラスメントメーター95%

まずは、<B課長の言動について>
職務を行うにあたり必要ではなく、個人の興味によるものであれば、立場を利用した‘パワーハラスメント’です。
が、
このような「言った、言わない」の場合は、証拠となるものが無ければ証明は困難です。
一般的には、
同課の職員(言動を直に聞いた)に証言を依頼することは証拠として有効です。1人より2人、2人より複数で多ければ多いほど効果的です。
ただ、在職期間も浅く、職員との人間関係の構築がなされていなければ難しいかもしれませんが、
望みは皆無ではないので話しやすい人から声をかけてみるのも方法の1つです。
注:無暗に声をかけてはいけません!
さて、
職場環境や相談窓口の対応から見えてくるのは、
この企業の問題点です。
それは、ズバリ、「隠蔽体質」。

Aさんをこの企業に紹介した知人は、
どのような立場の人でしょうか?
立場によっては力強い助っ人となってくれるでしょう。
どのような立場の人であれ、入社の経緯から鑑みて
この一件を報告することを忘れずに。

企業の問題点は内部からでは見えにくいものです。
利害を伴わない第三者的立場の人材、もしくは機関に
依頼し、解決の糸口を見つけることが急がれます。